大事にしてほしいのは「悔いのない人生」、それを実現できる施設です
西村 博之
医療法人 弘善会グループ/ 在宅部次長
入職 2001年7月11日
プロフィール
大阪府高石市出身。
25歳の頃、人の役に立てる仕事に就きたいと思い、
当時開設5年目だった介護老人保健施設アロンティアクラブに入職。
老健で介護職を経て、事務部門、営業開拓、相談員、ケアマネジャーに着任。その後、矢木脳神経外科病院 看護助手主任、墨江丘地域在宅サービスステーション「ル・ロゼイ」施設長、グループホーム・小規模多機能あろんてぃあ住吉の立ち上げを経て、2019年に介護老人保健施設アロンティアクラブ事務長に就任。
医療法人 弘善会グループ/在宅部次長
西村 博之
入職 2001年7月11日
全くの未経験から鍛えられ、支えられ、老健の事務長に
25歳の頃、人の役に立てる仕事に就きたいと考え仕事を探していたところ、バイト先の知人から紹介してもらいヘルパーの資格を取得しました。その後就職先を探していた際、養成校の講師に矢木外科病院の元婦長さんがおられ、老健で介護職を募集しているとお誘いを受け、入職しました。
「老健」がどういう施設かまったくわからない状態でしたが、介護の現場で経験を積み、事務部門に異動となりました。事務に異動したものの全く介護保険法のことも知らなかったので、先輩に介護保険六法を渡されて「何ページに何が書いてあるか覚えるぐらい読め」と言われ、かじりついて読み込みましたね(笑)。パソコンも触ったこともなく、先輩に教わりながら一から頑張りました。
そこで介護報酬請求を覚え、売上や収支の集計など経営的なことも勉強できました。
それと同時に、デイケアの事業拡大で営業に携わりましたが、当時は営業に行く介護施設は珍しい時代でしたから、冷たい視線を浴びながらも、いつも空き状況や営業資料を作って工夫していましたね。その後は支援相談員、ケアマネジャー、デイの管理、配食サービスの手伝いなどにも関わり、すごく勉強になりました。
平成20年に矢木脳神経外科病院の看護助手主任として着任。初めての病院勤務で、しかも役職付きなので、周りのスタッフとうまくやっていけるだろうか?と不安と緊張の毎日でした(笑)。足を引っ張らないように(みんなにバレないように)本を読みあさっていたのを覚えています。脳外科の病院だけあって、体の大きい患者様が多くて毎日体力勝負。一日中病棟内を走り回っていました。介護施設では経験のできないことが病院にはあります。オペ前後の患者様の身体機能や認知機能などの変化を目の当たりにできました。医療って素晴らしいなと感動の毎日で、ここでもまた勉強になりました。看護師さんやリハビリの先生と患者様の画像など見ながら、ケアの方法などをよく話しましたね。
平成21年 墨江丘地域在宅サービスステーション「ル・ロゼイ」に異動、施設長に着任。ここでは定員41名のデイサービスと認知症対応型デイサービス、ケアプランセンター、在宅支援センターの管理業務。介護現場が好きなのでデイサービスで利用者様とともに時間を過ごしてきました。デイサービスって、すごい魔法があるんです。家庭では、表情が乏しく、寝てばっかりなのに、デイサービスに行くようになると、たちまち変化が起きます。服装はおしゃれ、笑顔がたくさんこぼれ、生き生きとした姿を見せてくれるようになります。利用者様にいっぱい笑顔やお声がけ頂いて、毎日元気をもらっていました。そのおかげで、ますますこの仕事が楽しくなりました。また、地域の町会長さんなどとの交流もあり、地域の盆踊りの設営のお手伝いや、地域イベント活動にも携わったりすることもありました。地域性というもので、ケアの方法も変わってきます。これはすごく良い経験でした。
平成29年 あろんてぃあ住吉開設 施設長に着任。小規模多機能、グループホーム3ユニットの複合施設。設計から関わらせて頂き、設備、家具、採用、消耗品の仕入れ方法、医療体制の確保、設備メンテナンスなど、初めての立ち上げだったので毎日頭を悩ませていました。一緒に立ち上げに関わってくれたスタッフの皆様、一緒になって考えてくれた業者の皆様のおかげですごく明るくて雰囲気の良いホームになりました。入居見学では、ご家族の方(特にお嫁さんや娘さん)が喜ばれていたのを覚えています。
この新規立ち上げで、また新たな視点を学べました。介護職や医療職の方だけでなく、施設運営の上で関わってくれた様々なジャンルの業者様とも自分自身の描いている方向性や目標などを話し合いました。開設した後に、ある業者担当者から「一緒に仕事させてもらえて、本当に楽しかったです!」と満面の笑みで声をかけてくれました。いつも厳しい見積金額で頑張ってもらっていたので、申し訳ない気持ちもありながらも、私自身、すごく有難い言葉で嬉しかったです。柔軟な発想と創造力、交渉力といったところも事業所の管理者に必要な要素だと気付かされました。
平成30年 約10年ぶりに介護老人保健施設に戻ってきました。事務長に着任。以前の老健を離れてから介護報酬改定が4回あったため、老健の機能を高水準まであげていかないと、生き残っていけないようになっていました。以前のような戦略では財政面で厳しい状態でした。まずは超強化型を目指し、各部門の組織体制の強化。在宅復帰してからも在宅サービスで繋ぎ、リピーターの利用人数の底上げ。支出の見直し。ここで今までの経験が役に立ちました。人脈は宝です。業者さんも大切なパートナーです。そのおかげもあって経営状態も安定してきました。それまで利益を上げていくのが難しい収支体質だったので、設備や備品も古かったり、壊れたまま使っていました。優先順位を付けながら改善をすすめていき、働く環境を改善できるように今も取り組んでいます。今までの経験や知識を活かして今も各部門の皆様に助けられながら良い施設作り、良い職場作りに励んでいます。
アロンティアクラブの強みは、職員の「力強さ」
そもそも老健は中間施設という位置づけの施設です。機能訓練の機能、また医療依存度の高い方も受け入れていく必要があり、在宅や高齢者住宅への在宅復帰やご家庭での療養を支援する目的のもとで在宅復帰支援の指標が作られています。
また、地域の方が足を運びやすい、地域の方の健康を支援する役割もあります。退所後も、通所リハビリテーション(デイケア)や訪問リハビリテーションのサービスなどで、切れ目なく支援をさせて頂く事で、末永く在宅生活を支えていく事が重要だと思います。
また、介護をするご家族・介護者への支援も大変重要な役割だと思います。このレスパイトケアも重視して利用者様を受け入れることが老健に求められています。
その中で、当施設アロンティアクラブの強みは、ひと言で言えば「力強さ」だと思います。国の介護報酬改定は「こういう機能を発揮してほしい」というメッセージですが、機能訓練、栄養管理、口腔機能、この3つの機能を強化したいと考えています。
そのために委員会が活発に活動していて、たとえば排泄ケアであれば、介護・看護・多職種が取り組みに参加します。また口腔ケアであれば介護、看護、言語聴覚士、栄養士などの施設職員に加えて、外部の歯科医師や歯科衛生士ともタッグを組み取り組みを行っています。
それぞれの委員会が議論し、サービスや改善を形にしてくれますし、すごく勢いがあると感じています。機能強化に必要な取り組みを形にするパワー、チームの中にも元気があって、私はとても頼もしいと感じています。彼ら彼女らに任せておけば大丈夫だ、と信頼しています。
また、それぞれの部門から「自分たちが取り組んでいきたい」という意志や要望も結構上がってきます。費用が多くかかることもあるので、そこはシビアに判断しますが、やはり利用者様の生活環境や、職員の働きやすさ、施設の環境改善につながることは、事務長の仕事として後押しをしています。
事務長の役割は、これから目指すべき方向性や大事なことを伝え、それに向かって動いていくための火付け役を行い、動き出すための舞台を整える役割だと思います。「プロデューサー」であり、一緒に働く皆様を支える「アシスタント」だと思います。
専門職を外に、地域に出していきたい
今後は老健発信で、専門職をどんどん地域に出していきたいと思います。
リハビリ部門は既に、かなりの規模で訪問に出ていますが、栄養士も栄養指導で地域に出向いてほしいと思います。介護施設を退所したら関係が切れるのではなく、在宅に戻られても継続的に必要なサービスを受けられる施設でありたいと思います。
いま取り組み始めているのがリハビリ目的の短期間での入所です。老健の目的はなにかという本質に立ち戻ると、リハビリや、栄養管理や、健康管理なんですよね。在宅復帰を支えるとともに、居住施設、在宅の施設・事業所とも関係を構築し地域全体で支えていけるような、そういう施設になっていきたいと思っています。
既にリハビリ部門では地域包括支援センターと共同で地域に出ています。住之江区の保健師さんが100歳活き活き体操をしたり、地域と協働での秋祭りを実施したり、取り組みを行っています。栄養士も住之江区内の医療機関、老健、特養などの栄養士と定期的に情報交換会をしたり、栄養に関する情報などを地域に発信しています。
施設の中だけで働いていると、地域で暮らすことのイメージがつきにくい。外に出ていくことで見えることも多いと思います。こういった働きかけによって、職員から外に出向いてみたいという意見が出てきています。
そんな活動を後押しし、地域に出向く老健を実現していきたいと思います。
大事にしてほしいことは、悔いのない人生を生きること
職員に大事にしてほしいと思うのは、「悔いのない人生を送ってほしい」ということです。
私自身「今やりたい事に打ち込める時間を持てることが、一番素晴らしいことだ」と思っていて、どんな人生を生きていきたいかを大事にしてほしいと思います。
仕事を例にあげると、どういう仕事をしていきたいのか、自分はどうなっていきたいか、それを描きながら仕事をしてもらいたいと思います。自分の人生を生きる中で、やりたくないことや、つまらない思いをもって過ごす時間は1分1秒でも勿体ないと思います。
だから自分で考え、自分の人生を生きて欲しいと思っています。
老健は稼働回転率、医療依存度が高くて介助量が多い利用者層が半数以上なので、毎日忙しくて大変だと思います。しかしながら、やればやるほど奥が深く、きっと虜になると思います。そして、この弘善会グループで、私自身いろんなことを勉強させてもらいました。いろんな困難の壁にぶつかってばかりでしたが、得るものは大きいと思います。自分らしい人生を生きたい、やりたいことに思いっきり取り組んでみたいというあなたをお待ちしています。
西村 博之
医療法人 弘善会グループ/ 在宅部次長
プロフィール
大阪府高石市出身。
25歳の頃、人の役に立てる仕事に就きたいと思い、ヘルパー資格を取得。
当時開設5年目だった老健アロンティアクラブに入職。
介護職を経て、事務部門、営業開拓、相談員、ケアマネ、デイ管理者、グループホーム・小規模多機能の立ち上げ等を経た上で、2021年に在宅部次長に就任。